ゲノムMD - 染色体の分子動力学
細胞レベルでのダイナミクスを正しく表現するためには、遺伝子スイッチが染色体構造変化の遅いダイナミクスによってコントロールされていることを考慮する必要があります。遺伝子、そしてゲノムは抽象的な1次元配列ではなく、3次元の空間の中に折りたたまれた物理的実体です。そこで、ゲノムの立体構造が遺伝子の活動をコントロールしている可能性が指摘されてきました。多くの実験が行われて分子生物学のホットな話題になっていますが、計算による研究はまだほとんど行われていません。我々は、蛋白質フォールディングのシミュレーション法を拡張してこの問題を扱う方法を開拓しています。

N. Tokuda, T. P. Terada, and M. Sasai, "Dynamical modeling of 3D genome organization in interphase budding yeast", Biophys. J. 102: 296-304 (2012)
N. Tokuda, M. Sasai, and G. Chikenji, "Roles of DNA looping in enhancer-blocking activity", Biophys. J. 100: 126-134 (2011).

アメーバ運動
アメーバというのは特定の生物の名前ですが、アメーバに似た運動(アメーバ運動)は、粘菌、神経細胞の成長、白血球など様々な細胞の運動に現れます。このプロジェクトでは、アメーバ運動を計算機の中で再現しました。計算機の中で細胞を飼っているようなものです。この細胞は、餌を求めて移動したり、仲間どうし相互作用したり、形を変えたり、障害物をうまくよけたり、簡単なルールで動いているのに多彩な動きをします。その機構は、細胞の変形が細胞内の分子の分布を変えて化学反応を変える。その結果、さらに変形が起こる、というフィードバックループがあることに基づいています。

S. I. Nishimura, M. Ueda, and M. Sasai, "Non-Brownian dynamics and strategy of amoeboid cell locomotion", Phys. Rev. E 85: 041909_1-8 (2012).
S. I. Nishimura, M. Ueda, and M. Sasai, "Cortical factor feedback model of cellular locomotion and cytofission", PLoS Comp. Biol. 5: e1000310 (2009).
