Q1. 生物物理学って生物ですか?物理ですか?

生物物理学は生物学と物理学にまたがる学際的な分野です。 対象は生物で方法は物理というように、物理学的な考え方や手法を用いて生命現象を研究します。 生物学あるいは生命科学の中の1つの分野として位置づけられることもあれば、物理学の1分野として扱われることもあります。

Q2. シミュレーション以外の研究はありますか?

みんなプログラムを書いて数値シミュレーションをしていますが、 一部の人たちは数値シミュレーションだけでなく解析的理論の構築や生物の実験なども行っています。 解析的理論の構築では、普通は数値シミュレーションでしか解けないと思われているような問題に対して、 紙と鉛筆だけでガリガリ計算して解いてしまうような手法を開発しています。 実験では、理学部の某研究室で実際に手を動かして実験をさせてもらいながら、 そこで観察される生命現象の数理モデルを考えています。

Q3. 4年生ゼミでは何を勉強するのですか?

年によって違いますが、基本的には分子生物学と統計物理学です。 タンパク質科学や非平衡物理学になることもありますが、いずれにしても、 毎週、生物学と物理学を1コマずつ勉強するという感じです。 毎週テキストの指定範囲を予習しておき、持ち回りで誰か一人が発表します。 テキストも毎年変わるのですが、参考までに今までに使ったテキストには以下のようなものがあります。
  • Brue Alberts et al.,『Essential細胞生物学』 南江堂
  • George M. Malacinski,『分子生物学の基礎』 東京化学同人
  • Arthur M. Lesk,"Introduction to Protein Science," Oxford Univ. Pr.
  • Gregory A. Petsko & Dagmar Ringe,『タンパク質の構造と機能 ゲノム時代のアプローチ』 メディカル・サイエンス・インターナショナル
  • 今田正俊,『統計物理学』 丸善
  • 早川禮之助 他,『非平衡系のダイナミクス入門』 培風館

Q4. 研究テーマはどうやって決めるのですか?

学生自身が自分の研究したいテーマを見つけます。自分が興味をもった内容について主体的に楽しく研究することが 大切なので、スタッフが学生に「君は○○というテーマで研究しなさい」と押し付けることはありません。
 初めから自分で研究したいテーマを持っている人は、基本的にそのテーマに取り組むことができると思います。 もちろん生物物理学ないしは生命科学の内容であることが前提ですが、扱えるテーマの範囲としては結構広い方だと思います。 テーマの希望がある場合は、スタッフと相談しながら具体的にどういう方法で何を明らかにしていくのかを決めていきます。
 一方、生物物理学についてもっとよく知ってからテーマを決めたいという人は、前期の間に先輩やスタッフに 研究の話を聞いたり自分で本や論文を読んで勉強したりしながら、やりたいテーマを見つけていきます。 その過程で自分の目指す方向がはっきり決まればよいのですが、生物には魅力的な現象がたくさんありますし 解決すべき課題も数多くあるので、いろいろな話題に興味がでてきて方向を1つに絞りにくいかもしれません。 そこで、院試が終わった後、例年9月頃にスタッフや興味のある先輩たちを交えて卒業研究のテーマ決めるための 相談会を行います。スタッフが「例えばこんなテーマもあるよ」といくつか面白そうな例を挙げてくれますし、 先輩が「一緒にこんなテーマを研究しない?」と声をかけてくれることもあります。 まだテーマが決まっていない人は、この中からおおよそのテーマや方向性を1つ選び、スタッフと相談しながら 具体的に何をするのかを決めていきます。

Q5. 研究テーマにはどんなものがありますか?

参考までに卒業論文と修士論文の過去の例をいくつか挙げておきます。
  • 環境依存型ポテンシャルを用いたタンパク質の構造転移の粗視化モデルシミュレーション
  • Ras蛋白質における構造変化と自由エネルギー曲面
  • シミュレーションによる人工タンパク質の自由エネルギー地形の解析
  • de novoモデリングにおける非経験的フラグメント構造予測法に向けて
  • 構造予測ツールを用いたカルモジュリンの構造変化の研究
  • 構造予測に向けてのRNAフォールディングシミュレーション
  • 出芽酵母の細胞周期を制御する遺伝子−タンパク質ネットワークの平均場近似を用いた解析
  • 分裂を繰り返すバクテリアにおける一遺伝子自己抑制系の確率的ゆらぎ
  • KaiCリン酸化サイクルモデルの構築及び数値シミュレーション
  • フラーレンC60分子の周りにおける水の構造についての理論的研究
もっと知りたい人は、研究室セミナーの内容 を読んでみるとよいでしょう。 研究室セミナーでは、学生、研究員、スタッフが自分の研究について紹介したり、興味のある論文を紹介したりします。

Q6. 誰が研究を指導してくれますか?

 研究テーマによって異なります。各スタッフの得意分野との兼ね合いもあって、目安としては
  • 分子モータータンパク質 → 寺田さん(講師)
  • タンパク質の立体構造予測 → 千見寺さん(助教)
  • 遺伝子ネットワーク → 笹井さん(教授)
  • 概日リズム → 笹井さん(教授)と寺田さん(講師)
という指導分担になることが多いようです。ただし、上に挙げた指導者は「そのテーマの人が最もよく 相談したり議論したりするスタッフ」という意味で、それ以外のスタッフとも研究の話ができます。 教授のグループ、講師のグループなどというように研究室内でグループ分けされているわけではなく、 どのテーマでも興味がある人はみんなで一緒に議論しようという雰囲気があります。

Q7. どんなOSを使いますか?

LinuxとWindowsの両方を使っている人が多いです。 LinuxメインでWindowsはPowerPointでプレゼンを作る時だけという人が多いのですが、Windowsメインの人もいます。 4年生で配属されると、計算機クラスターの操作に必要なLinuxに慣れてもらうため、少なくとも最初の1年間はLinuxをメインに使ってもらうことにしています。

Q8. どんなプログラミング言語を使いますか?

自分の好みや研究テーマに合わせていろいろな言語を使っています。 例えば、タンパク質の立体構造予測の研究をしている人たちは、C、C++、Perlを使っていますし、 遺伝子ネットワークの研究をしている人たちは、MATLAB、C、JAVA、Mathematicaなどを使っています。 他にはFortranを使っている人たちもいます。

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