2008年度

5月16日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 474号室
発表者: 永井徹郎
題目: シアノバクテリアの概日時計のこれまでの研究と理論モデルによるシミュレーション 〜近藤研とKaiCと私〜
内容: 研究紹介をします。
5月9日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 474号室
発表者: 澤藤俊平
題目: 蛋白質立体構造における水素結合の"満足度"と"満腹度"
内容: 研究紹介をします。
5月2日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 474号室
発表者: 澤田賢吾
題目: バイオインフォマティクスと物理化学的手法を用いたタンパク質立体構造のリファインメント
内容: 研究紹介をします。
4月25日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 471号室
発表者: 千見寺浄慈
内容: 論文紹介をします。
4月18日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 471号室
発表者: 寺田智樹
内容:
Michal Brylinski, Jeffrey Skolnick
What is the relationship between the global structures of apo and holo proteins?
Proteins 70(2)363-377 (2008)
http://dx.doi.org/10.1002/prot.21510
の論文紹介をします。
 タンパク質にリガンドがつくことによる構造変化は多かれ少なかれあるわけですが、 特に主鎖の構造変化について、どの程度の大きさのものがどこくらいあるのか、 というのを構造のデータベースを用いて定量的に評価している論文です。 驚くようなことは何も書いてないのですが、ちょっと面白いこととして、 ヒンジ状の構造変化はドメイン間の接触面積があまり大きくない場合に限られる、 ということが示されています。
4月11日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 471号室
発表者: 徳田直子
内容:
 真核生物のDNA上には多数の遺伝子が存在し、時期特異的にまた部位特異的に遺伝子の発現の活性化、抑制が行われている。 このような転写制御に重要な機能を担っているのがエンハンサー、インスレーターと呼ばれる調節領域である。 近年になり、これら調節領域を含むDNAの構造と遺伝子発現との関連が分子生物学的な手法により明らかになりつつあるが、 統計力学的な視点から、インスレーターの分子機構を説明する研究はなされてはいない。
 そこで、我々は Wormlike chain DNA モデルに転写制御に働いていると考えられる相互作用を考慮し粗視化DNAモデルの構築を行った。 インスレーターの分子機構として、Domain boundary model と Transcriptional decoy modelの2つが提案されているが、 今回のセミナーで報告する内容は前者のモデルを強く支持する結果である。

[インスレーターに関するReview]
1. Two insulators are not better than one
 F. Mongelard and V. G. Corces, Nat. Struct. Biol., vol.8, 192-194 (2001).

2. Protecting against promiscuity: the regulatory role of insulators
 P. K. Geyer and I. Clark, Cell. Mol. Life Sci., vol.59, 2112-2127 (2002).

3. We gather together: insulators and genome organization
 J. A. Wallace and G. Felsenfeld, Curr. Opin. Genet. Dev., vol.17, 400-407 (2007).

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2007年度

3月3日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 検崎博生
題目: タンパク質の粗視化モデルを用いたキネシンのすべり運動のシミュレーション
内容: 研究紹介をします。
2月18日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 西村信一郎
題目: アメーバ状細胞の運動モデル -TURING の呪縛から の脱出-
内容: 研究紹介をします。
参考文献: Turing, A.M., "The chemical basis of morphogenesis" Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series B 237:37--72 (1952)
2月4日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 江口浩平
題目: Kaiタンパク質による概日振動のシミュレーション:モノマーシャッフリング及びアロステリック転移に基づく振動モデル
内容: 研究紹介をします。
1月28日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 岡部ゆりえ
題目: ショウジョウバエの胚発生における遺伝子発現の空間的パターンのゆらぎ
内容: 研究紹介をします。
1月15日(火)15:00〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 牛久保智広
題目: 少数個の遺伝子からなる遺伝子ネットワークのダイナミクスに関する理論的研究
内容: 研究紹介をします。
12月17日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 依田充正
題目: KaiCリン酸化概日リズム
内容: 研究紹介をします。
12月10日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 牛久保智広
内容:セミナーでは以下の論文紹介をさせていただきます。

J. Chem. Phys. 126, 034702 (2007)
Single molecule dynamics and statistical fluctuations of gene regulatory network: A repressilator
Keun-Young Kim, David Lepzelter, and Jin Wong

J. Chem. Phys. 126 245102 (2007)
Understanding stochastic simulations of the smallest genetic network
Daniel Schuitz, Jose N. Onuchic, and Peter G. Wolynes
12月3日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: Cetin Hikmet
題目: Langevin動力学と構造−配列アラインメントの併用による構造予測の試み
内容: 研究紹介をします。
11月9日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 笹井理生
要旨:以下の論文を時間の許す範囲で紹介します。

1. Large-scale allosteric conformational transitions of adenylate kinase appear to involve a population-shift mechanism
K. Arora and C. L. Brooks III, PNAS, vol.104, 18496-18501 (2007).

2. A Gene Regulatory Network Subcircuit Drives a Dynamic Pattern of Gene Expression
J. Smith, et al. Science 318, 794 (2007).

3. Mechanical control of the directional stepping dynamics of the kinesin motor
C. Hyeon and J. N. Onuchic, PNAS, vol.104, 17382-17387 (2007)

4. Molecular level stochastic model for competence cycles in Bacillus subtilis
D. Schultz, E. B. Jacob, J. N. Onuchic, and P. G. Wolynes, PNAS, vol.104, 17582-17587(2007).
11月12日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 佐々木尚
要旨: タンパク質の構造予測におけるフラグメントの抽出方法
内容: 研究紹介をします。
11月5日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 伊藤一仁
要旨:セミナーでは以下の論文を紹介します。

Nonequilibrium Dynamic Mechanism for Allosteric Effect
Jianhua Xing PRL99, 168103 (2007)
10月29日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 山下貴弘
題目: タンパク質の構造転移の粗視化モデルシミュレーション
内容: 研究紹介をします。
10月22日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 村上博紀
題目: ショウジョウバエの初期胚におけるBicoidとHunchbackの3次元シミュレーション
内容: 研究紹介をします。
10月15日(月)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 南慎太朗
題目: タンパク質の立体構造予測ツールを用いたカルモジュリンの構造変化の研究
内容: 研究紹介をします。
10月12日(金)11:00〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 石尾広武
題目: 腫瘍成長のモデルと物理
内容: 腫瘍成長における表面現象のモデルと、それに関連する物理について、或る論文を元に概説する。
10月1日(月)10:45〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 山浦雅弘
題目: de novo modeling における非経験的フラグメント予測法に向けて
内容: 研究紹介をします。
9月28日(金)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 千見寺浄慈
要旨:以下の論文と、他になんかあれば紹介する予定です。
Robust protein-protein interactions in crowded cellular environments
Eric J. Deeds, Orr Ashenberg, Jaline Gerardin, and Eugene I. Shakhnovich
PNAS 2007 104: 14952-14957
9月19日(水)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 依田充正
要旨:今回のセミナーでは、以下の論文紹介をしようと思います。

Nishiwaki et al., EMBO J. 26(17):4029 (2007)
http://www.nature.com/emboj/journal/v26/n17/pdf/7601832a.pdf

状況によりますが、もう一本論文が紹介できたら良いと思っております。
9月7日(金)13:30〜、    場所: 工学部8号館 204号室
発表者: 寺田智樹
内容:今度のセミナーでは、酵素反応の速度がタンパク質の構造変化の速度と関係していることを示唆する、 NMRを用いた実験結果についての論文を紹介します。

Eisenmesser et al., Nature 438, 117 (2005)
http://www.nature.com/nature/journal/v438/n7064/pdf/nature04105.pdf

Boehr et al., Science 313, 1638 (2006)
http://www.sciencemag.org/cgi/reprint/313/5793/1638.pdf

余力があれば

Wolf-Watz et al., Nat. Struct. Mol. Biol. 11, 945 (2004)
http://www.nature.com/nsmb/journal/v11/n10/pdf/nsmb821.pdf

もやりたいです。
6月29日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 徳田直子
要旨: 真核生物の転写制御に特徴的なことは、遺伝子の発現を活性化する制御領域(エンハンサー)が遺伝子から数千塩基対も遠く離れた位置に存在することである。 どのように離れた位置にあるエンハンサーは遺伝子の発現を制御できているのか分子的な機構は明らかではない。 DNAの高分子鎖としての物性、たとえばDNAのかたさ、よじれやすさなどは、環境の塩濃度などに影響を受ける。 このようなDNAの物性と転写制御の関連について、粗視化DNAモデルを通して明らかにすることを試みている。 セミナーにおいては、現時点のシミュレーション結果からいえることを考察したい。
6月19日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 瀧ノ上正浩 (東京大学 陶山研)
題目:自律的DNAコンピュータによる人工遺伝子回路と生物物理学
要旨:DNAコンピュータ・DNAナノデバイスの研究は1990年代後半から発展してきた新規分野である。 DNA相補配列間の会合反応は非常に特異的であるだけでなく、その反応は非常に多数の分子間で超並列的に進行する。 しかも、その反応はDNA塩基配列を設計することで自在にコントロールすることが可能である。 DNA分子反応のこのような特長を生かして、超並列計算機や自律的に駆動するナノコンピュータ・ナノデバイスの開発が盛んに行われている。今回は、私が研究に 携わってきた自律的DNAコンピュータ・DNAナノデバイスについて発表する。 特に、DNAポリメラーゼ・逆転写酵素・RNAポリメラーゼ等の核酸関連酵素を利用した自律的に動作するAND演算素子やRNA濃度を振動させるオシレータの開発について詳しく説明する。 これらはRNAを入出力のインターフェース・制御分子にした、タンパク質翻訳を介さない、一種の人工遺伝子回路を構成できることを紹介する。 また、時間があればDNA分子の二次構造形成反応を利用したナノサイズのメモリ素子の開発についても触れる。 最後に、今後の自律的DNAコンピュータの展開についても議論する。 特に、細胞等の小体積系に自律的DNAコンピュータを閉じ込めた場合に重要となる、 分子数の離散性・揺らぎが支配的な系でのDNAコンピュータの振る舞いに関する研究を提案し、細胞内の人工遺伝子回路に関する生物物理学への貢献について議論したい。
6月15日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 江口浩平
要旨:KaiCリン酸化のモデルに関する論文と、in vivoでの周期の安定性や細胞間の相互作用について議論している論文の二つの論文の紹介をします。

Resilient circadian oscillator revealed in individual cyanobacteria.
Irina Mihalcescu, Weihong Hsing & Stanislas Leibler, Nature 430, 81-85 (1 July 2004)
http://www.nature.com/nature/journal/v430/n6995/abs/nature02533.html

An allosteric model of circadian KaiC phosphorylation
Jeroen S. van Zon,{dagger}, David K. Lubensky, Pim R.
H. Altena, and Pieter Rein ten Wolde, PNAS | May 1, 2007 | vol. 104 | no. 18 | 7420-7425
http://www.pnas.org/cgi/content/full/104/18/7420
6月1日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 検崎博生
要旨:タンパク質の構造変化についての、論文を2本紹介する予定です。

A Simple Way to Compute Protein Dynamics Without a Mechanical Model,
C.H. Shih, S.-W. Huang, S.-C. Yen, Y.-L. Lai, S.-H. Yu, and J.-K. Hwang,
Proteins. 68, 34-38 (2007)
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/114210421/ABSTRACT

Local Motions in a Benchmark of Allosteric Proteins,
M.D. Daily, and J.J. Gray, Proteins 67, 385-399 (2007)
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/114119245/ABSTRACT
5月22日(火)12:30〜、    場所: 工学部3号館 323号室
発表者: 西村信一郎
題目: 細胞の運動における、形状の変化と内部シグナル濃度分布のフィードバックループの存在とそれによって説明される数々の細胞のパターンや現象について
内容: 研究紹介をします。
5月18日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 牛久保智広
題目: 遺伝子発現の時間変化の絶対反応速度理論による解析
内容: 研究紹介をします。
5月11日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: Cetin Hikmet
題目: Langevin動力学と構造−配列アラインメントの併用による構造予測の試み
内容: 研究紹介をします。
4月27日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 岡部ゆりえ
内容:最近流行のRNA干渉について、これまでに分かってきたメカニズムや今後医療に応用するための課題などをお話したいと思います。 以下の論文の内容をメインに取り上げます。

Kim DH & Rossi JJ. Strategies for silencing human disease using RNA interference
Nat Rev Genet. 8, 173-84 (2007).
http://www.nature.com/nrg/journal/v8/n3/pdf/nrg2006.pdf
4月20日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 笹井理生
内容:次の2つの論文を紹介する予定です。

1) The unique insert at the end of the myosin VI motor is the sole determinant of directionality,
H. Park, A. Li, L.-Q. Chen, A. Houdusse, P. R. Selvin, and H. L. Sweeny,
PNAS (2007) 104, 778-783.

2) Physical limits to biochemical signaling,
W. Bialek, and S. Setayeshgar, PNAS (2005) 102, 10040-10045.
4月13日(金)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 佐々木尚
題目: タンパク質立体構造予測コンテスト(CASP)の結果報告と考察
内容: 研究紹介をします。

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2006年度

3月15日(木)17:00〜、    場所: 工学部3号館 323講義室
発表者: Prof. Garegin A. Papoian  (University of North Carolina at Chapel Hill)
題目:Stochastic Signaling in Nonlinear Enzyme Cascades
要旨:We used various analytic and numerical methods to elucidate complex dynamics in stochastic signal transduction. We demonstrate that the commonly used linear noise approximation to solving the chemical master equation fails when the number of proteins becomes too low. Consequently, we  developed a new analytical approximation to the solution of the master equation, based on the generating function approach, which works in a much wider range of protein number fluctuations. For more complex cascades, we mapped the stochastic chemical kinetics master equation into a quantum field theoretical problem, which we solved using the variational principle. We also observed the phenomenon of stochastic resonant signaling in signal amplification enzyme cascades, where certain optimal reaction rates minimize the average threshold-crossing time. We have developed a new analytical technique to obtain the mean first passage time, based on a novel decomposition of the master equation. Our analytical results are in good agreement with the exact numerical simulations.
3月5日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 323講義室
発表者: 伊藤一仁
内容:以下の論文の紹介をします。

G protein-coupled receptors sense fluid shear stress in endothelial cells
Mirianas Chachisvilis , Yan-Liang Zhang, and John A. Frangos
PNAS103, pp.15463-15468 (2006)
http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/103/42/15463

メカニカルな力(流動剪断応力、hypoosmoticな刺激、流動性の増加)が細胞膜の張力を増大させ、 膜の物理的性質を変化させることによって生じるリガンド非依存性の受容体の構造変化を上皮細胞 B2 GPCRにおいて明らかにし、 mechanochemical なシグナル伝達の開始に寄与しているかもしれないという可能性を示したという話。
3月26日(月)15:00〜、    場所: 工学部3号館 304号室
発表者: 前多裕介 (東京大学 理学系研究科 物理学専攻 佐野研究室)
題目:ゆらぎから探る細胞性粘菌の運動メカニズム
要旨:同一の遺伝型をもち, 同一環境で育成されたバクテリアや細胞といえども、 遺伝子発現や走化性など行動の振る舞いは時々刻々ゆらぎながら変化しており、 表現型はばらついている。このばらつきを単なる雑音とみなして無視するか、 あるいはゆらぎに耳を傾け眼を凝らし情報を取り出すか。われわれは後者の 立場から、ゆらぐ細胞の運動メカニズムを探る。 ある種の培養細胞やアメーバ細胞は外部刺激がない環境においてもダイナミック に変形しながら移動する。この変形は一見するとただランダムに起こっていると しかみえず、細胞運動研究の歴史の中で軽視されてきた。しかし本講演において 自発運動する細胞性粘菌単一細胞の形のゆらぎはランダムではなく、規則的 である証拠を示す。われわれは形のゆらぎの統計的解析により秩序的な4つの パターンを見出し、細胞性粘菌はこれらのパターンに従って形を時々刻々変化 させながら運動していることを明らかとした。更に、形態変化のパターンは重心 運動に対しても重要な役割を果たすことを見出し、その機能を発揮するためには 特定のタンパク質の活性が必要であることも明らかとした。これらの実験事実を 紹介するとともに、細胞運動に限らず他の系への適用可能性も含めて話題提供したい。 本研究は猪瀬淳也氏(東京大学), 松尾美希博士(東京大学)との共同研究であり、 我々三氏は等しく研究に貢献している。
2月15日(木)17:00〜、    場所: 工学部3号館 332講義室
発表者: 高橋隆 教授 (名古屋大学 医学系研究科 神経疾患・腫瘍分子医学研究センター 分子腫瘍学分野)
題目:ゲノミクス・プロテオミクス解析による肺癌の分子病態の個性描出とテーラーメイド医療への応用
要旨:網羅的な発現解析手法としての成熟期に入ったマイクロアレーを用いた遺伝子発現解析は、種々の癌腫の個性を鮮やかに浮き彫りにしつつある。 一方、蛋白レベルにおける網羅的発現解析には未だ技術的改良の余地が相当に残されているが、 すでにかなり網羅性の高い解析を十分な再現性を持って進めることが可能となりつつある。 今回のセミナーでは、多様性に富むヒト肺癌の分子病態解明を目指して進めているゲノミクス解析や、 テーラーメイド医療へ直接的に応用することを目指したプロテオミクス解析などの研究成果を提示し、 現時点では大きなギャップに隔てられている医学系研究科と工学研究科における研究の接点を探りたい。 将来的に一緒に新たな展開を求められるきっかけにつながれば、大変幸いである。
2月5日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 323講義室
発表者: 千見寺浄慈
題目: CASP7をハタカラ眺めて思ったこと
内容:(本来は)現時点での人類が手にしたタンパク質の立体構造予測能力を客観的に評価する機会として、 CASPという立体構造のブラインドテストが2年に一度世界的規模で行われている。

# 近年、本来の目的とは最近は裏腹にコンテストの意味合いが強くなりつつあるが

このセミナーでは、昨年の夏に行われたCASP7(佐々木くんも参加して結構良い順位をゲットした)の結果を眺めてみて、 現状ではどんなことができるのか、何がこれから必要なのか、などをつらつらと思ったままにしゃべろうと思います。
1月29日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 323講義室
発表者: 寺田智樹
内容:次回のセミナーでは

Hayashi, Aita, Toyota, Husimi, Urabe & Yomo,
"Experimental Rugged Fitness Landscape in Protein Sequence Space"
PLoS ONE 1(1) e96 (2006)
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0000096

について話をします。内容はこんな感じです:

 ランダムポリペプチドに突然変異をかけて得られたライブラリから特定の機能が上がったものを選び出してさらに変異と選択を繰り返す「人工進化」の実験をすると、けっこう少ない世代数で機能が上がる。 ・・・と1本前の論文 http://dx.doi.org/10.1007/s00239-002-2389-y では言ってたんだけど、実はそこで行き詰まってしまって、それ以上変異・選択を繰り返しても機能が上がらなくなる。 そこで、行き詰まるたびにライブラリサイズ(=各世代のライブラリを構成するアミノ酸配列の個数)を大きくするようにしたところ、 ライブラリサイズを大きくすればするほど、より高い機能で行き詰まるようになった。
 そして、行き詰まったときの機能の高さのライブラリサイズ依存性は、KauffmanのN-Kモデルで説明できるようにみえる。 このモデルが配列空間の全体にわたって正しいと信じれば、適応度地形の大まかな様子として、山の4合目までは簡単に登れるけど その先は急激にでこぼこになって、現時点で可能な最大のライブラリサイズでも5.5合目までしか登れないことが想像される。
1月22日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 323講義室
発表者: 堀田剛史
題目: ナノメートルサイズの疎水性物質の周りで揺らいでいる水和構造
内容: 研究紹介をします。
12月11日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 602B号室
発表者: 江口浩平
要旨: 概日リズムの分子機構について 内容: 研究紹介をします。
12月9日(土)13:30〜、    場所: 野依記念物質科学研究館
発表者: 木賀大介 助教授 (東京工業大学)
題目:生命は人工合成できるか?−「生命を創る」ことを目指した諸研究とその意義
要旨:この数年間、「つくる」をキーワードとしたSynthetic Biologyという言葉が誌上を賑わせつつある。 この10年間で種々の生物のゲノムが解読されるなど、網羅的解析プロジェクトの進展によって生物の部品がリストアップされてきた。 一方、化学合成技術の進展は、DNA断片だけではなく遺伝子全長を受託合成する業者を成立させ、研究レベルでは人工ゲノムの合成までもが提案されている。 また、タンパク質についても、進化分子工学によってその特性を変化させることが容易になっただけでなく、モノの調製技術が進展してきた。
 生命の部品を調達することが容易になったならば、実際に組み合わせて生命の部分システムを「つくる」研究も進展してくる。 作り出されたシステムを活用しよう、という工学的研究が存在することはもちろんであるが、「つくる」ことにはさらに、「ありえた生命」の追及という、科学としての意味がある。
 本来、科学では比較検討というアプローチが有効であるにもかかわらず、生命には比較対象が存在しない特性が数多く存在する。 たとえば、「普遍」遺伝暗号表にはアミノ酸が20種類記されているが、この20という数字は唯一の生命のかたちなのだろうか? この問いに関しては、つくるアプローチによって、21種のアミノ酸を含むような人工遺伝暗号を構築できることが示されている。 はたして将来は遺伝暗号という生命の部分機能のみならず、生命全体をデザインして構築することが可能になるのだろうか? 「つくる」ことを志向した人材を育成する、Synthetic Biologyの「ロボコン」ことiGEMについて紹介するとともに、この分野の目指すところについて、本公演を通じて議論を深めたい。
12月9日(土)10:00〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 木賀大介 助教授 (東京工業大学)
題目: DNAコンピュータとSynthetic Biology
要旨: DNAコンピュータは、その当初は超並列検索が可能な計算機として宣伝、認知されていた。 また、実装においても情報科学の例題がほとんどであったことから、限界が予想され、実用性に乏しいと認識されてしまったことも仕方の無いことである。 しかしながら、生体高分子を用いて情報処理を行う、という概念は、まさに生命活動の本質そのものなはずである。
 本セミナーでは、情報科学と生化学の学際領域として生まれたDNAコンピュータを、 分子の形態変化および分子システムの反応の自律性を活かすことで「試験管内人工生命」の構築へと展開してきた演者と分子計算コミュニティによる研究について、生物学への構成的アプローチの観点から紹介したい。
12月4日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 602B号室
発表者: 徳田直子
題目:遺伝子発現過程を考慮した粗視化DNAモデルの構築
内容:真核生物における遺伝子発現を考える上で、重要なことは何であろうか? 原核生物にはみられない特徴の一つとして、プロモーターから数千塩基も離れたDNA上の部位に、 遺伝子調節蛋白が結合し、発現をコントロールしていることである。このDNA上の領域はエンハンサーと呼ばれている。 近年、このエンハンサーが機能する上で、新しい知見が得られた。 エンハンサーを含むDNAがループ構造をとる場合、遺伝子発現量がDNA構造に制約がない場合と比較して、数分の1に抑制されたという報告である。
 私達は、この実験結果を定性的に説明できる粗視化モデルをつくることを目指しています。 明日のセミナーでは、最初に上記の実験結果を紹介した後粗視化モデルの現状およびアイディアを話したいと考えています。
11月27日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 432号室
発表者: 長尾知生子
題目: Protein fold designablity, promiscuity, moonlighting ....and functionability?
内容: 研究紹介をします。
11月20日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 432号室
発表者: 西村信一郎
題目: アメーバ状細胞の運動
内容: 研究紹介をします。
11月6日(月)16:00〜、    場所: 工学部3号館 432号室
発表者: 検崎博生
題目: タンパク質の構造変化を記述するための郷-likeモデルの拡張
内容: 研究紹介をします。
10月30日(月)13:30〜、    場所: 工学部3号館 602B号室
発表者: 依田充正
題目: KaiCリン酸化サイクル
内容: 研究紹介をします。
10月23日(月)13:30〜、    場所: 工学部3号館 602B号室
発表者: 牛久保智広
題目: 遷移状態理論のアナロジーを用いた遺伝子ネットワークの安定状態の解析
内容: 研究紹介をします。
9月26日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 堀田剛史
題目: 疎水性水和についての理論的研究
内容: 研究紹介をします。
9月19日(月)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 守山速飛
題目: シャペロンによるタンパク質の品質管理のメカニズム
内容: 研究紹介をします。
9月12日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 石原秀至 (岡崎国立共同研究機構 基礎生物学研究所)
題目:"On the transition and steady state of mass conserved reaction-diffusion systems"
要旨:In this presentation, I talk about reaction diffusion systems with Turing instability and mass conservation. In such systems,we found it is common that abrupt decays of stripes follow quasi-stationary states in sequence. At steady state,the distance between stripes is much longer than that estimated by linear stability analysis at a homogeneous state given by alternative stability conditions. We show that there exist systems in which a one-stripe pattern is solely steady state for an arbitrary size of the systems. The applicability to cell biology, in particular the unique localozation for cell polarity, is discussed.
7月18日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: Cetin Hikmet
題目: Langevin動力学と構造−配列アラインメントの併用による構造予測の試み
内容: 研究紹介をします。
6月27日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 八木悠
要旨: 遺伝子発現の揺らぎのパラメータ依存性
内容: 研究紹介をします。
6月13日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 岡部ゆりえ
題目: 遺伝子ネットワークにおける確率ダイナミクスと揺動散逸関係の破れ
内容: 研究紹介をします。
6月6日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 廣瀬謙造 教授 (名古屋大学 医学系研究科 細胞生理学分野)
題目:生命機能の動的理解を目指す分子イメージング
要旨:ポストゲノム時代である今日、我々は己のゲノムがコードする遺伝子の大部分を知っている。 その結果、生命機能を司るシグナル伝達機構についても、いわばその青写真が完成しつつある。 しかし、依然としてその青写真は「静的」な理解しか与えてくれない。 生きた細胞内ではシグナル分子はその空間的・時間的な状態を常に「動的」に変化させているはずだから、どのような挙動をとってシグナル伝達機構が機能するのかを理解することが重要である。 このようなシグナル伝達の動的理解こそ今後解決されるべき重要な課題と認識されつつある。 蛍光イメージング技術は、直接的に生きた細胞内のシグナル分子を「見る」という戦略でこの課題にアプローチする方法である。 我々はこの戦略に沿って、シグナル伝達動態の解明を目指している。 現在までに、カルシウム動因を制御するイノシトール三リン酸(IP3)、ガス性の伝達物質である一酸化窒素、転写因子であるNFAT、収縮蛋白質ミオシンをリン酸化するMLCKなどさまざまな種類の分子イメージングに成功している。 イメージングによる解析によって、分子が時空間的に多様なパターンを示すこと、そのパターンがシグナル伝達にとって重要な意味合いを持つことが明らかになりつつある。 セミナーにおいては、我々のこれまでの取り組みを紹介するとともに今後の展望について議論したい。
5月30日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 笹井理生
題目: 遺伝子スイッチのゆらぎをどう捉えるか?
内容: 研究紹介をします。
5月23日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 佐々木尚
要旨:タンパク質の動力学的立体構造予測法とCASP7における戦略
内容: 研究紹介をします。
5月16日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 伊藤一仁
要旨:次回のセミナーでは、以下の論文の紹介をします。

B. P. English et al.
"Ever-fluctuating single enzyme molecules:Michaelis-Menten equation revisited"
Nature Chemical Biology 2, 87-94 (2006)

 一分子レベルで酵素β-galactosidaseの一回の触媒反応を長時間にわたって繰り返しモニターした。 その結果、基質濃度が高いときメモリー効果が見られた。 このメモリーはミリ秒から秒の時間スケール継続し、その時間スケールの寿命で存在する酵素分子の複数の構造間の移り変わりのためだと考えられる。 このように絶えず揺らいでいる一分子レベルの酵素反応においてもなおMichaelis-Mentenの式が、そのミクロスコピックな解釈は修正されるものの、成立することを示す。
 というような内容です。
5月9日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 千見寺浄慈
要旨:タンパク質の立体構造データベースを眺めていると面白いことに気付く(こともある)。 データベースに登録されている立体構造を分類していくと、どうやらタンパク質の立体構造のバリエーションは極限られており、約1000種類くらいしかない、ということがわかってきた。
 興味深い問題の一つとして、この約1000種類という数はポリペプチドの物理化学的な制約によって決められているのか? もしくは進化的な原因によってたまたま1000種類くらいしかみえていないのか?という問題が挙げられる。 以下の論文は、前者であるという主張をしている(多分)。

Zhang Y, Hubner IA, Arakaki AK, Shakhnovich E, Skolnick J.
On the origin and highly likely completeness of single-domain protein structures.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 vol.103 p.2605-2610
http://www.pnas.org/cgi/content/abstract/103/8/2605

今回はこの論文の紹介と、これに関連してタンパク質の進化やデザインの(妄想の)話をしようかなぁと思ってます。
5月2日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 寺田智樹
題目:MAPKカスケードにおいてpositive feedbackなしで双安定性と振動現象が現れる可能性について
内容:最初にいくつか関連した話題を紹介したあと

N.I. Markevich, J.B. Hoek & B.N. Kholodenko,
"Signaling switches and bistability arising from multisite phosphorylation in protein kinase cascades",
J. Cell. Biol. 164, 353-359 (2004)
http://www.jcb.org/cgi/reprint/164/3/353

X. Wang, N. Hao, H.G. Dohlman & T.C. Elston,
"Bistability, Stochasticity, and Oscillations in the Mitogen-Activated Protein Kinase Cascade",
Biophys. J. 90, 1961-1978 (2006)
http://www.biophysj.org/cgi/reprint/90/6/1961

の2本の論文の紹介をします。
 双安定性があると普通はpositive feedbackがあるのかなと考えるんだけれども、 実はMAPKの2段階のリン酸化・脱リン酸化を考えるだけでも安定な定常状態が二つある濃度領域が出てきちゃいますよ、という理論予想が一本目で、 実際の細胞はその濃度領域には入ってないんだけどそのすぐそばであるために過渡的な二値的応答(しばらく不活性状態にとどまったあとで活性状態になる) が見えてるみたいですよという実験+タンパク質の合成・分解を考慮すると振動が起こるような気がしますけど、という理論予想が二本目です。
 KaiCの問題と関係があるといいなあ、と思って調べ始めたのですが、Sasai-Wolynesの方法を使うのに手ごろな大きさの問題のような気もします。
4月25日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 徳田直子
要旨:これから、新たなテーマに取り組むわけですが自己紹介も兼ねて、今回のセミナーでは修士課程において行ってきた研究内容についてお話したいと思います。 分野が違うことにより聴きなれない言葉などがあると思いますが、できるかぎり言葉の説明も加えながら話していきたいと思っています。

 「重い電子系超伝導体CeRhIn_5 のLa希釈系の物性研究」
 近年、固体物理の分野において磁性と超伝導の相関に興味が集められています。 タイトルにあるCeRhIn_5は常圧においてネール温度3.8 Kにもつ反強磁性体です。また超伝導にも転移することが知られています。 相図(転移温度の圧力依存性を図示することにより、物質の相を表現している)からは、この相容れない磁性相と超伝導相が共存しているようにみえる ことから、なぜ共存しているのか?あるいは、ほんとうに共存しているのか?という疑問が生じています。
 この大きな問いに答えるひとつのアプローチとして、私たちはこの物質のKondo 温度の評価と、結晶場効果(波動関数とその固有エネルギー)の同定を行いました。 この結果から、これまでCeRhIn_5は Ising 的異方性を持つと考えられてきましたが、結晶場基底状態は等方的であることが明らかとなりました。
4月18日(火)13:30〜、    場所: 工学部3号館 308号室
発表者: 江口浩平
題目:概日リズムにおけるKaiCのリン酸化振動の数理モデルの構築
内容:研究紹介をします。
参考論文
Masato Nakajima, Keiko Imai, Hiroshi Ito, Taeko Nishiwaki, Yoriko Murayama,
Hideo Iwasaki, Tokitaka Oyama, and Takao Kondo
Reconstitution of Circadian Oscillation of Cyanobacterial KaiC Phosphorylation in Vitro
Science 308, 5720: 414-415(2005)
http://biol1.bio.nagoya-u.ac.jp/%7eb1home/04/paper/2005/nakajima.pdf

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